泊園文庫
本学名誉教授藤澤黄坡先生の没後先生との縁を以て泊園文庫が本学に寄贈せられた。之は一に藤澤桓夫氏及び藤澤家の人の御好意によるもので関係者一同の深く感泣する所である。爾来その整理に当つてゐたが、今度一部が完成したので「関西大学泊園文庫蔵書書目」として刊行する。
泊園文庫は藤澤東畡・南岳・黄鵠・黄坡先生と三世四代相継がれた泊園書院の蔵書であり、その内容は、漢籍を主とし、各先生の自筆稿本・手沢書入本の多くを含めて数万冊に上つてゐる。且又泊園文庫は江戸官学に対する関西庶民の学苑として、幕末以来浪人士の教養の淵叢であり精神文化の中心であつた為に、本蔵書は又広く近世浪速文化の縮図とも観じ得られるであらう。然し今回出版する部分は自筆稿本の目録は不日泊園文庫書目序文及び索引と共に刊行せられる。従つて本書は書目の第二編に当るものである。
尚本文庫の整理、書目の作製に当つては夫々三上諦聴教授・長谷川雅樹教諭、索引については河崎常夫助手の労に負ふ所が多い、厚く謝意を表する次第である。
壺井 義正(関西大学文学部教授)
昭和33年2月20日発行『関西大学所蔵:泊園文庫蔵書書目』はしがきより転載
(所属は執筆当時のもの)