長澤文庫
長澤規矩也(1902年から1980年)は、戯曲や小説等中国文学の研究者であり、和漢古書の書誌学者として有名であるが、身近な江戸の地誌研究を行なったり、戦後の漢文教育を憂えて漢文学習指導書を著したり、字義より字形で配列した漢和辞典を編集するなど、多才な人でもあった。また、学術的価値のある資料を、自ら創立した汲古書院から影印出版したり、手弁当で各地の和漢古書の整理にでかけ、多くの漢籍古書目録を出版したことも大きな功績である。
その長澤規矩也の蔵書が本学図書館に入ったのは平成5年で、以降長澤文庫として関西大学図書館の貴重なコレクションの一つとなった。約3万冊の文庫資料は、その後約10年かけて整理され、現在では、そのほとんどが本学の図書館蔵書検索システムKOALAで検索できるだけでなく、全国の目録所在情報がわかる国立情報学研究所にも登録され、学内外からの利用は着実に増えてきている。
長澤文庫の内容は、主として明治、民国以前の刊本や写本、地図や役者絵などの一枚物、各機関の目録類などを含む洋装本等である。書誌学者の蔵書らしく、さまざまな版本が集まっており、利用者にとってはそれらを同時に閲覧し比較対照することができ、非常に恵まれた環境となっている。