近世文書(春原源太郎旧蔵)その2

『関西大学所蔵:近世文書目録その二』
(平成元年3月2日刊の序より転載、所属は執筆当時のもの)

本図書館では、さきに春原源太郎博士旧蔵文書約五万点のうち近江関係の近世地方文書の目録を、「近世文書目録その一」(昭和六十二年三月)として刊行したが、このたびこれに引き続き「近世文書目録その二」を刊行する運びとなった。本目録には、尾張国愛知郡鳴海村(宿)下郷家文書約三、〇〇〇点(なお冊子が解体して断簡となっているものについては、断簡それぞれ一点と数えた)を収めている。 下郷文書は、鳴海村庄屋文書、鳴海宿問屋・兼帯庄屋文書および下郷家(千代倉本家および分家の柏木家、喜多浦家)文書の三つの文書群から成る。年代は延宝元年(一六七三年)から明治初期にかけてのものである。鳴海村は、本陣・脇本陣・問屋が置かれ、助郷制度も整備されていた宿場町を含む大村であり、下郷家の本家・千代倉家(姓は下郷氏)は酒造業を営む大地主で、嘉永年間(一八四八~一八五四年)以後は本陣をも務めた。したがって本目録に収めた文書には、地方関係史料・宿場町関係史料および酒造、金融、小作関係等の私家資料が含まれている。 本目録が成るについては、図書館員藤原有和主事の努力に負うところが多い。記して感謝する。

高島 義郎(関西大学図書館長)