近世・近代文書

本学図書館は、豊臣時代から太平洋戦争終結までの約350年間に作成された11万点に及ぶ近世・近代文書を所蔵している。その収集の淵源は明らかでないが、戦後は、本学の元専務理事であり、日本法制史学界に大きな足跡を残した春原源太郎法学博士(1906~69)の尽力に依るところが大きい。博士は、自身の研究資料の収集に加えて、本学図書館の古文書収集にも指導的な役割を果たしており、その対象地域は近畿・中部地方を中心として全国に及んだ。博士の没後、1982(昭和57)年に個人の収集文書約5万点が図書館資料に加えられ、学術研究の基礎資料として利用価値の高い、充実した地方(じかた)文書群が本学図書館に集積することとなった。

これらの近世・近代文書の調査・整理については、1960(昭和35)年出版『関西大学所蔵大坂関係資料目録』(図書館シリーズ6)の「摂河泉近世文書目録」が最初で、村分け79件・家分け6件、計85件の文書群の概要を記した粗目録が作られた。しかし、その後次々と新たな文書群が収蔵されたことで混乱を来し、当初の文書群の判別に関する明確さが失われ文書の所在が曖昧な状態になっている。

文書を1点ずつ記録する本格的な文書目録の出版は、1979(昭和54)年の「摂津国島上郡高浜村西田家文書」(約7300点)から始まり、1982(昭和57)年にかけて大阪府下(旧摂河泉)の大規模文書群5件の詳細目録が作成された(図書館シリーズ17~21)。春原博士の旧蔵文書が加わって以降は、1987・89(昭和62・平成元)年に近江・尾張国に関わる旧蔵文書の詳細目録が作成されている(図書館シリーズ24・25)。これらの目録に基づいて本学図書館所蔵文書は公開され、近世・近代史や法制史の研究に大いに寄与してきた。

2016(平成28)年度からは未整理の近世・近代文書群について、エクセル表による目録作成に取り組んでおり、整理が完了した文書群から順次、その目録リストを図書館ウェブサイトに掲載し、文書の公開に努めて、今日に至っている。

ところで、以前のウェブサイトにおけるコレクション名は「近世文書」であったが、収蔵文書群の中には明治以降の近代文書を多く含むものがあり、また近代の行政組織に帰属する文書で構成されるものもあることから、このたび「近世・近代文書」と名称を改めた。したがって、以前は明治維新期までを近世文書として抽出し、近代文書を割愛して目録が作成されることもあったが、現在は近世・近代文書の悉皆調査を進めている。

なお、本学図書館所蔵文書の一部には、近世の身分的差別に基づく表現が見られる。これらの文書は、歴史の中で生み出された身分制度を正しく把握し、今日も続く不当な差別への認識を深めるために重要な資料であり、学術研究上、次世代に引き継ぐべき貴重な遺産といえる。閲覧者においては研究目的のみに限り、本学図書館の意図をご理解のうえ、法令を遵守し、責任を持って適切にご利用願いたい。


1_摂津国島上郡高浜村西田家文書

2_河内国丹北郡六反村谷川家文書

3_摂津国住吉郡中喜連村佐々木家文書

4_和泉国大鳥郡豊田村小谷家文書

5_和泉国大鳥郡岩室村中林家文書

6_近世文書(春原源太郎旧蔵)その1

7_近世文書(春原源太郎旧蔵)その2

8_摂津国豊島郡両渋谷村文書(PDF:145KB)

9_和泉国大鳥郡深井村文書・摂津国島下郡吹田村文書・河内国河内郡吉田村文書ほか(PDF:158KB)

10_摂津国島下郡太田村文書(PDF:171KB)

11_摂津国島下郡味舌村文書(PDF:273KB)

12_摂津国嶋下郡内瀬村西田家文書(PDF:343KB)

13_大坂南組玉造中町文書(PDF:142KB)

14_大坂天満組古川町一丁目文書(PDF:194KB)

15_大阪府豊能郡小曽根村大字石蓮寺文書(PDF:203KB)

16_河内国第三大区一小区四番組文書(PDF:163KB)

17_河内国交野郡茄子作村文書(PDF:136KB)

18_摂津国島下郡太田村寺川家文書(PDF:303KB)

19_和泉国南郡土生村坂口家文書(PDF:265KB)

20_摂津国西成郡下難波村文書(鍋釜)(PDF:305KB)

21_大坂南組立売堀阿波橋町文書(PDF:181KB)

22_摂津国島上郡広瀬村水無瀬家文書(公家)(PDF:371KB)

23_河内国交野郡星田村文書(PDF:279KB)

24_大坂南組南久宝寺町木綿問屋糸屋文書(糸忠)(PDF:470KB)