最後にイタリア社会学のものとしては、社会学の分野でも最も難解なものといわれているパレートの「一般社会学論考(1916)2冊」があり、文庫中のものはその再訂版(1923)」3冊ものである。
以上の他、著名なものとして更にオッペンハイマーの「マルクス社会学の基本法則(1903)」「社会学体系(1922-27)4冊」H・フライヤーの「社会学入門(1931)」オーストリアの代表的社会学者O・シュパンの「社会学体系(1914)」の「再訂版(1923)3冊」等数多くのものが所蔵されている。
“社会学から国家本質への研究”を標榜された博士の旧蔵書は更に国家学に関する多くの書物を含むのであるが、編輯氏より与えられた紙数も限りのあること。先ずは蔵書中の社会学の分野にそのスポットをあててこれを概観するならば、この文庫は正しく“古典社会学の宝庫”と呼ぶに相応しいのではなかろうか。
萬里小路 通宗(東西学術研究所事務長)
昭和60年4月28日発行 関西大学図書館報『籍苑』(第20号)より転載
(所属は執筆当時のもの)